お金が絡む男女関係
歯科医の勝山は、六本木の愛人サークルを構成する一員だった。そこでは毎月200万の会費で、アイドル予備軍やグラビアアイドル、ダンサー、さまざまな美貌の女や男やそのどちらでもない人間を自由に扱う事ができる。怪しげな薬物や上等の酒、静かに流れる香の中で自由に談笑する男女の中から好みを選びとり、個室に移動し事に及ぶ。勝山自身は薬物の混ぜ物を警戒して手を出すことはなかったし、下戸だった。友人の無理な誘いだったが、情欲を満たすのには充分で、ある程度気にいっている空間だった。金に余裕のある勝山は名前の知れ始めたグラビアアイドルを好んで抱いた。
ある日、若い俳優の会員が、銀座ナンバーワンホステスの心筋梗塞を見殺しにした。会の発覚を恐れたためだ。安物の脱法ドラッグを使用し、全裸の彼女が悶絶死するのを黙って見ていた。むろん警察沙汰になったが、会は何事もなかったかのように続いた。
バレンタインデーの夜、勝山は一人の青年に目を留めた。すらりと長い手足とゆるくウェーブのかかった鎖骨まで伸びた髪。時生と名乗った彼はアクションができる俳優を目指していると語った。レッスン代と生活費のために一度だけ来てみたという。当然のように膝頭が破れたデニムを履いていたが、それを勝山は好ましく思った。夢見る若者というものは得てしてこういうものだ。
先に30万円を渡し、個室へ連れ出した。立たせると時生は勝山より目線が高く、顎の小ささが愛らしい。話の流れで微笑う彼の歯並びの悪さが気になった。俳優になるなら矯正したほうがいい。
裸に剥いたあと、シャワーを許さず、フェラチオを命じた。慣れているのかもしれない。立ち上るなんともいえない色気が勝山を夢中にさせた。部屋にあった葉巻を咥え火をつけ、再度口淫を命じた。充分に屹立すると時生の身体を二つに折りたたみ、すぐに挿入した。眉根を寄せて痛がったが、その顔すら美しかった。唇を吸い、開かせ、キスをしながら歯並びを確認した。職業意識だったが、ズレた八重歯と奥の虫歯を確認したあと猛烈に興奮した。腹にあたる時生のペニスがお互いの気持ちに相違がないことを物語っていた。彼なら面倒を見てもいい。
二週間後、勝山のクリニックの診療台のライトの下で、診察を受ける時生の姿を見ることになる。